高分子材料分野における放射光利用の進展

摘要

SPring-8 の産業利用の状況全体については、すでに成書~ (1 ) )で紹介されている。高分子材料は、その力学的特徴と成型加工性を生かした構造材料と、力学的性質に加えて熱·光·電子物性、バィオメフイカル、あるいは分離·透過などの機能性を合わせ持つ機能材料に分類される。有機EL、有機TFT,液晶配向膜などの有機デバイアクチュエ- タなどの柔らかい機能材料としてのゲル、さらに印刷·接着·塗料などの幅広い分野でポリマーフィルムとして、その応用が広がりつつある。宇宙材料から自動車用材料、日常のあらゆる生活用品、各種機能材料などの「物づくり」の発展のためにも、ナノ·メソスケ-ルでの構造や電子状態、物性の解明が求められている。結晶性ポリマーや繊維、ミクロ相分離ポリマーの構造解析に加えて、バルル状態とは異なる柔らかいゲル，薄膜、あるいは表面や埋もれた界面の構造解折の必要性が高まっており、二二に放射光X線による高分子研究の発展の根拠がある。