大規模土砂災害合同防災訓練～「気づき」と「顔の見える関係」の大切さ～

摘要

多治見砂防国道事務所は，岐阜県東濃地方の多治見市に位置する「砂防」と「道路」事業を実施する全国唯一の「砂防国道」事務所である。当事務所は，木曽川水系（上流は御嶽山（噴火災害への対応）にはじまり，長野県木曽郡上松町·大桑村·南木曽町，岐阜県中津川市まで）と庄内川 (土岐川）水系（多治見市，土岐市）の2つの水系において砂防事業を実施している（図-1)。木曽川水系は，1,500～3,000m級の山脈に囲まれた地形で急峻な流域を抱え花崗岩が多く分布し，近年は国道19号やJR中央本線等の重要交通網が谷沿いを南北に縦断している。また，庄内川（土岐川）水系は，江戸時代より窯業の陶土採掘，薪材のための樹林乱伐による山地のはげ山化が激しく花崗岩が多く分布し近年は名古屋圏のべッド夕ウン化で市街化形成が著しい。過去の大規模土砂災害としては，昭和7年の四ツ目川災害，昭和 40 · 41年の南木曽災害，昭和32年の豪雨災害（多治見市，土岐市）等がある。