がけ崩れ災害の防止には日常の点検?管理と対策施設が重要

摘要

平成26年10月6日の台風18号にともなう豪雨により，横浜市内では約120箇所のがけ崩れが発生し，2名の尊い人命が失われた。横浜市緑区白山におけるがけ崩れでは，崩壊土砂が斜面の下方に位置していた建物内に流入し，建物内にいた会社員が亡くなった。また，中区野毛町の成田山横浜別院では，がけ崩れにより倒壊した仮本堂内にいた修行僧が亡くなった。当時は，気象庁横浜地方気象台では最大24時間雨量306.5mm，最大1時間雨量が46.5mmの豪雨が発生していた。がけ崩れの引き金となったのはこの豪雨であるが，緑区白山のがけ崩れでは，その後の横浜市の調査により，崩壊した部分は盛土部であり，ここに道路排水や雨水が集中したためにがけ崩れが起こったと報告された。この斜面への盛土は宅地造成等規制法に違反しており横浜市では平成22年3月に工事停止命令と是正勧告を出し，緩斜面化され一定程度の状況改善が確認されたが，是正はされなかった。また，東京都日野市では平成25年10月16日の台風26号による豪雨にともない，斜面上に設置された簡易な土留めが崩壊して，土砂が下方のアパートに流れ込み住民一人が足に軽傷を負った。崩壊した簡易な土留めは平成24年に無許可で工事が行われたものであり，東京都が平成25年8月に改善を指導していたが改善は行われなかった。