SIMD型組込みプロセッサによる擬似乱数生成アルゴリズムの並列処理実装とその評価

摘要

近年，生物や化学の分野における現象の解析から経済状況の予測に至るまで，高品質な乱数を用いてシミュレーションを行うことが重要となってきている．また，低消費電力，小面積実装，及び低価格が要求される携帯機器においても，多くのアプリケーションを実現するために高品質な乱数を用いて，ゲームをはじめとする様々な処理をリアルタイムに実行する必要がある．こういった背景から，組込み向けプロセッサを用いて高品質の乱数を大量，かつ高速に生成することが注目されてきている．そこで我々は擬似乱数生成アルゴリズムの－ つとして知られているMersenne Twisterに着目した．Merselne Twisterは基本的に逐次処理のアルゴリズムであるが，組込み向け超並列SIMD型演算プロセッサMX-1を利用し，実装アルゴリズムを工夫することで並列処理を可能とした．先行研究との比較を行った結，処理効率プログラマブル性においてMX-1による乱数生成処理の優位性を確認するとともに，組込み向けプロセッサのーつであるARMCoretex-A8による実装結果との比較において，約21倍のスループット向上を実現することに成功した．