大規模シミュレーションの産業応用：事故および潜在的事故に学ぶ安心安全（ロープウェイ事故から自動車事故）

摘要

また最近発生した鉄道事故としては，平成12年3月8日に営団日比谷線中目黒駅構内において発生した列車脱線衝突事故や，平成17年4月25日にJR福知山線で発生した脱線転覆事故が記憶に新しい．これらの鉄道を始めとする公共交通機関の事故はいったh発生すると大事故につながる恐れが高く，新聞等にも大々的に取り上げられている．一方，自動車交通事故に関しては，平成16年の死者数は7,358人，死傷者が約120万人に達しており，日本の人口を考えると，毎年約100人に1人が人身事故に見舞われているくらいに日常的である．ただ，まさか自分自身が人身事故に遭うとは思っていないので，見過ごしているのではなかろうか．ところがいったh事故に見舞われると個人や家族にとっては大変悲惨な事態を招くことになり，日本の国全体としても，交通事故による経済的損失は4兆円強というくらいに深刻である．交通事故対策に関しては，平成15年度当初に小泉首相が今後10年間で事故死者数半減を政策目標にあげ，安全安心に向けた取り組みが始まっている．本解説では，著者が最近係ってきたロープウェイ事故の調査と再発防止や自動車事故ゼロに向けた取り組みについて，解説してみたい．