21世紀の計測技術とパラダイムシフト

摘要

過ぎ去った20世紀はどのような世紀であっただろうか。 科学技術の発達が顕著であったが,特に物理の世紀であったといえよう.量子論に始まり,原子力の開発利用，半導体物理学が発展し,その上にトランジスタ,ICにつながる半導体技術が花を咲かせた.さらにコンピュータと通信技術が発展し，20世紀後半には情報技術が急発展し,情報化時代と言われるようになった。 計測技術は直接および間接的にその急発展を推進した。 また,計測技術自身もこれらの科学技術の進展に支援されて大きく発展した。 21世紀はいかなる世紀となるだろうか。 答は,物理学，化学の知見を援用し，情報技術に支援された新たな生命科学の進歩発展と,その応用技術の発展を含む生命の世紀となる。 約50年前に遺伝子を構成しているDNAの二重らせh構造が明らかにされ,その後,その構造中の4種の核酸の配列順序が遺伝情報を記述していることが判明した。 それが生体の基本部品であるタンパク質分子や核酸分子を構成する設計図である.ヒトゲノム解析プロジェクトが国際共同研究で進められ，核酸配列の解析情報が得られた.ヒトゲノムとは人の体を構成するのに必要な1セットの遺伝子であり，DNAの集合であるやヒトゲノムの解析はまさに遺伝情報のセンシングであり,それは21世紀の新しい計測技術の重要な役割である伝ヒトゲノムの解析プロジェクトは当初の予定より早く写一応の解析が2000年半ばに終了したことが発表された.解析が予定より早まったのは情報技術に支援された計測技術の進歩によるものであった。