日常系の科学技術：乳幼児事故予防のための日常行動モデリング

摘要

本稿では，実社会や日常生活をそこに存在している人間を含めてセンシングやモデリングの対象とすることで計算や制御の対象とする日常系の科学技術と呼びうる新しいパラダイムとその方法論について述べた，そのような可能性の例示として，子どもの事故予防工学の観点から，日常生活のセンシング技術，日常生活の確率分布の整備技術，日常生活のモデル化技術，これらの要素技術をサービスを通じて社会と統合する技術の事例を紹介した。 どもの事故予防の場合では，知の結晶体としての人工知能物を可能とする仕組みとしての，安全知識フィードバック系の構築が急務となっている.この安全知識循環系はクさらに，WEBを用いた保護者への対話的なフィードバック系，安全な人工物の設計を支援するためのフィードバック乳ユビキタスセンサを利用した実時間見守りフィードバック系などの多層的な制御系から構成されなければならない．いずれの系も，自然とできあがるものではなく，創造すべきものである。 筆者らは，安全知識循環フィードバック系の実現法を模索しながら，日常系の科学技術の具体的な方法論を示していきたいと考えている。