インターネットを介した双方向遠隔制御における伝達遅延問題

摘要

本解説ではインターネットを用いた双方向遠隔操作システムの構築について著者の知るところを述べた。 特に伝達遅延問題に着目してそのゆらぎの実態を示し，ロバスト制御理論にもとづく設計法が適用可能であることを示した。 各分野の専門の方にはもの足りない解説であろうが，制御工学と情報通信の2足のわらじを履いた著者の苦闘の一端を汲み取っていただければ幸いである。 読者諸氏の叱責を待ちたい。 この研究を通してメカトロニクス=機械＋電気·電子＋制御＋情報通信という図式を強く意識したが，分野を跨いだ学際的研究はいまだ不十分であることも感じた。 現在インターネットはブロードバンドやIPv6という次世代型ネットワークに移行しつつある。 技術的な可能性は飛躍的に拡大し現実はSFの世界を越えつつある。 計測制御工学に携わる多くの研究者·技術者がこの可能性を具現化する種々の活動に積極的に関ることを期待するものである。