制御の原理と先端科学技術：サンプル値制御理論によるディジタル信号処理の新展開－連続時間信号の性能評価と最適化設計

摘要

ディジタル信号処理はいまやわれわれの日常生活の至る所に入り込hでいる．例を挙げてみよう．静止画像におけるJPEG（あるいはJPEG2000）フォーマット，動画におけるMPEG2規格（DVDだけでなく放送にも使われている），CDなどの音楽メディアにおけるDAコンバータ，MP3やOGGVorvisなどの音響圧縮技術，さらにはディジタルボイスレコーダ，携帯電話などの音声処理など，音と画像に限っただけでもすぐにかなりの数の例が見つかる．さて，これらの画像や音はどのように処理され，われわれの手元に届き，その役目を果たすのであろうか．現在のディジタル信号処理手法は基本的にはShannonに始まるサンプリング定理にその基礎を置いている．しかし実はサンプリング定理からは数々の制約が生じ，応用によっては必ずしも適切でない場合が発生する．ことにサンプル点間に存在する高周波の処理において問題が生じやすい．本解説では，現在のディジタル信号処理の基本的な手法をまず概観し，それによって生じている問題点を明らかにする．それに対して，制御理論，ことにサンプル値制御理論がそのサンプル点間の信号を最適に補間できる特性を活かして，いかにサンプリング定理とは異なる処理方式を可能とするかについて解説したい．