自動車用エンジンの燃焼·排気計測の新展開

摘要

現在，自動車の動力源として内燃機関（エンジン）は広 く用いられている.ガソリンや軽油などの液体燃料の供 給インフラが整備され，いつでもどこでも比較的安価な 液体燃料を得ることができ，自動車の利用者は不自由を 感じない.しかし，これらの液体燃料は石油由来の燃料 であり，その有限性と，これらを燃焼させたときに発生 する二酸化炭素の気候に対する地球規模の影響への懸念 から，エンジン車から，電池を用いた電気自動車への移 行が一部では声高に唱えられている.しかしながら，電 力を得る際に発生する二酸化炭素の量は，電力構成に依 存し，石炭火力発電に依存している現状では，すべての エンジン車を電気自動車に代えることで二酸化炭素低減 につながるとは限らない.また，満充電の電気自動車の 航続距離は満タンのエンジン車の航続距離には遠く及ば ず，充電時間は給油時間に比べ大幅に長い，車両価格は高 い等の利便上の欠点が，電気自動車の普及を妨げている. 電気自動車には，静粛性，低速時の高トルクに起因する 操作性の高さ，走行時の排ガスなし，制御性の高さ，自動 運転技術との親和性の高さ等，エンジン車にはない利点 も多く，将来的にはエンジン車から電気自動車への移行 が進hでいくと考える.国際エネルギー機構（IEA)が 2015年に公表したエネルギー技術の将来展望では，2050 年における乗用車の販売数の約6割程度はプラグインハ イブリッド車を含むエンジン搭載車が占めると予想され ている.したがって，将来的にも自動車の動力として用 いられるエンジンに求められている課題は，使用する化 石燃料の低減，すなわち効率の向上と，排気中の大気汚 染物質の低減である.