硬さ：信頼性を高める硬さ試験技術

摘要

硬さは正しい大きさのくぼみをつけることに始まり，それを正しく測ることにより信頼性が確保される。 この意味で，試験力の負荷が最も重要であり，ついでそのくぼみの大きさをいかに正確に測るかが重要となる。 これに付随して，試験力を負荷する速さや時間が問題となる．一方，正しい硬度計も使用状況によっては異常や故障をきたし，それを知らずに測定を行うことは混乱の原因になりがぅであ．これを未然に防ぐために，均一性が高く,ISO·JISに準拠した普遍性の高い基準値の与えられた基準片で試験機の管理を行う必要がある．基準片の測定結果に異常が認められた場合には，庄子や試験荷重の設定，ダイヤルゲージや顕微鏡倍率，あるいは操作上の間違いがないことを確認した上で，試験機メーカーや専門業者に点検修理を依頼する必要がある．以上述べてきたように，基準片と補正値だけで分解能にせまる測定を行うことはできない。 基本に忠実に，直接精度の優秀な試験機を用い，庄子，試験機，試験条件や操作方法の適否の確認や比較を基準片により総合的に行うことが，信頼性の高い試験結果を得る最良の方法であると考える次第である。 本稿が読者の硬さ試験のよりよき理解と信頼性向上の一助となれば幸いである.なお，本稿をまとめるに際しては，小山二王二業高等専門学校の山崎敬則氏にお力添えをいただいた。 ここに深く感謝申し上げる次第である。