ハイブリッドシステムモデルに基づく熱延鋼板の板幅制御

摘要

スタンド間張力と板幅変動との間に非線形特性をもつ熱延板幅制御系に対し，ハイブリッド·システム的アプローチを適用した。 また，適用にあたり，状態推定器，外乱補償方法について検討を行った。 その結果，従来法では，制御対象の非線形性に起因して発生した応答の劣化が解消され，単一の制御器を調整するだけにも関わらず，広い張力域にて高い応答性をもつ制御器が設計できることを数値シミュレーションにより確認した。 しかし，今回のシミュレーションでは，特に外乱印加直後に計算時間がかかる（約1sec）といった問題やモデル化誤差に対する陀弱性が確認された。 また，初期状態の設定やモデルの分割のしかたによって，MIQPの求解時に不安定な挙動が見られる場合があった。本手法を実機に適用するには，これらの問題の解決が必須であり，今後の課題と考える。