超音波によるコンクリートクラックの高精度非破壊検査

摘要

なお，超音波（弾性波）に関連した他の方法としては，衝撃弾性波法や弾性波伝達関数法なるものもあるが，前者は超音波センサの代わりにハンマーでコンクリート表面に衝撃を与え，クラックからの反射波を受信するものである．計測原理は，従来の超音波法と同様，ディスプレイ上の受信信号からクラックからの第1反射波を目視で検出し，クラック位置·深度を推測するものである．また後者は，ハンマーによる入力信号と反射信号を異なる受信器で採取し，これらの間の伝達関数を周波数スペクトルとしてパターン的にながめ，クラックの有無の検知およびクラック深度計測を行うものである．そのため，コンクリートの材質を始め，クラックの位置や形状などを種々変えた膨大な周波数スペクトルのデータベースを用意しなぐてはならず，実用的ではない．このようなことから，本解説では，従来の方法に比し格段に信頼度と精度を高められる（物理モデルを用いた）非破壊検査手法を解説·紹介したい．