原子分解能STEM－EELSと第一原理計算による電子セラミックスの機能設計

摘要

工業的に広く用いられている電子素子の内部には誘電体や導電体などの電子セラミックスが使用されており，それら電子セラミックスの内部には粒界やヘテロ界面が多数存在している．さらに，電子セラミックスに機能を付与することを目的として，さまざまなドーバントが添加されている．電子セラミックスの諸物性はそれら格子欠陥に局在したドーバント（機能元素）に支配されているといって過言ではない．特に近年では電子デバイスの小型化と多様化に伴い，より高性能かつ高耐久性を有する電子セラミックスの開発が求められている．そのような次世代の電子セラミックスを効率的に開発するためには，材料機能を制御するための指針を確立する必要があり，電子顕微鏡と理論計算を用いた機能元素の原子·電子構造解析が不可欠である. 本稿では，原子分解能STEMLEELSと第一原理計算を用いた電子セラミックスの原子·電子構造解析について述べる，具体的には，代表的を電子セラミックスのSrTiO_3における原子拡散，SrTiO_3基人工超格子ヘテロ界面の相互拡散制御と機能設計，およびセラミックス非対称粒界の原子構造解析である．