鉄系高温超伝導体の高圧合成

摘要

高圧合成法ほ，銅酸化物系高温超伝導体の研究において，新物質探索および物性解明のための試料作製に大きく貢献したことから，その高い有用性が改めて実証された·東工大の細野グループから発表餞808年2月）された鉄系新超伝導体1）においても，新物質などに高圧合成法が積極的に活用されている．鉄系で初めて超伝導転移温度（T_c）＞50Kが報告されたの航高圧合成されたPrFeAs（O，F）であったことは象徴的である2）·そのプレプリントがcond-matに投稿されたのが同年3月であったことを考えると，一刻を争う開発競争において，短時間で試料が作製できる高圧合成法が威力を発揮したものと想像される．筆者らの研究グループでも，同年4月に高圧合成で後述するような酸素欠損型の新物質NdFeAsO_(1-y)（T_c＝54K）を作製した3）．（論文投稿日一日違いで，中国のグループから高圧合成による同じ物質の発表がなされた4）．その後も，Li_(1-x)FeAs（T_c＝18K）が高圧下で合成されるなど，鉄系の物質開発でも高圧合成法が有効な手段であることが認識されるようになった．