注湯と搬送を並行する傾動式自動注湯機における液面振動固有周波数の推定と振動抑制

摘要

現在，鋳造現場においては，高齢化により熟練作業者が減少している一方で，省人化や生産性の向上を目的とした注湯工程の自動化が求められている．特に，近年の自動注湯機においては，自動車の組立てラインのように，生産ライン上を流れている鋳型に同期し，取鍋を水平方向へ移動させながら注湯を同時に行う自律走行型自動注湯機の開発が進められている．このような注湯方式は，連続的に自動注湯を行うことができるため，タクトタイムの短縮が期待できる．しかしながら，鋳型へ取鍋を追従させる場合には，取鍋の発進の際に，慣性力によって取鍋内溶湯の液面が振動してしまう．また，鋳型の停止に同期するときも同様に慣性力が働く．従って，励起された液面振動が，自動注湯の流出流量制御や落下位置制御に対して外乱として作用し，注湯精度を低下させる．