（α＋γ）域から処理したオーステンパ球状黒鉛鋳鉄の引張特性に及ぼす結晶粒微細化前処理の影響

摘要

球状黒鉛鋳鉄は多量のけい素を添加していることから，オーステンパ処理を行った際に炭化物が析出しにくく，主にベイニティツクフェライトと多量の残留オーステナイトが得られる．このようにオーステンパ処理を行った球状黒鉛鋳鉄はオーステンパ球状黒鉛鋳鉄と呼ばれ，高い強度と残留オーステナイトの加工誘起変態によって強靭な性質が得られる．しかし，共晶セル境界領域に生じる未変態の不安定な残留オーステナイトが靭性や被削性に悪影響を及ぼすことが知られている.