球状黒鉛鋳鉄鋳物における凝固膨張圧力及び変位に及ぼす鋳物モジュラスの影響

摘要

鋳鉄鋳物においては，凝固開始までの液体収縮，共晶凝固時に生じるオーステナイト（以下，γと略す）晶出に伴う収縮と黒鉛晶出による膨張が上手く相殺しながら凝固が進行すれば，引け巣のない健全な鋳物を得ることが可能とされている1），しかし，球状黒鉛鋳鉄においては，膨張収縮のバランスが片状黒鉛鋳鉄とは異なることから，鋳物モジュラスM（以下，Mと略す）の違いによりひけ巣発生傾向が異なり，Mが大きいものは無押し湯でも引け巣のない鋳物が得られる場合がある2～4）．このように共晶凝固時の膨張現象は，鋳鉄品質に大きな影響を及ぼすといえ，共晶凝固時の膨張時期及びその圧力を測定し把握することは，健全な鋳物を得る上で非常に重要な要素となる．