高靭性·高熱伝導率サーメットの開発

摘要

WC基超硬合金は高硬度および高靭性の特性を有し，切削·耐摩耗工具材料として広く用いられており，その使用量は，世界経済の拡大とともに，年々増加する傾向を示している．WC基超硬合金の主成分であるWは希少·偏在金属で供給リスクが非常に高い．主な産出は中国，ロシアといった中央アジア地域で，約65%を占める．このような背景から，WC基超硬合金を代替する工具材料，あるいはW使用料の少ない工具材料の開発が強く求められている．Ti（C，N）基サーメットは，その有力な候補材料であるが，超硬合金と比べて高硬度，綺麗な機械加工面が得られるなどのメリットがある一方，熱伝導率（λ）や破壊靭性値（K_(IC)）が低いなどのデメリットもあり，工具材料として用いる場合，使用用途が限定される．そのため，Ti（C，N）基サーメットで超硬合金を代替するためには，同特性の改善が必要不可欠である．