Fe-Cu系焼結体の寸法変化に及ぼすCu添加法の影響

摘要

Fe-Cu系焼結合金の異常膨張に及ぼすCu添加法の影響を検討する目的で, Cu含有量が7.18％である（Fe-7.18Cu）合金粉にCu粉を混合した圧粉体の焼結中に発生する寸法変化を従来のFe粉とCu粉を混合した圧粉体のそれと比較，検討した。 その結果を要約すると以下のようである。 （1）Fe粉にCu粉を混合した圧粉体は, 加熱過程のCuの融点以上の温度で大きな膨張を示し, その膨張の程度はCu粉の配合量7.44％で最大値を示した。 （2）（Fe-7.18Cu）合金粉にCu粉を（1）の場合と同じ化学組成になるように混合した圧粉体を加熱すると, Cuの融点以上の温度で大きな収縮を示し, その収縮の程度はCu粉の配合量が多いほど激しくなる。 （3）Fe粉にCu粉を混合した圧粉体の焼結では, 固相表面に合金化層の形成がみられたのに対し, （Fe-7.18Cu）合金粉にCu粉を混合した圧粉体の焼結ではみられなかった。 しかし, 両圧粉体の焼結において固相粒子間へのCu相の侵入が観察された。 したがって, Fe-Cu系混合粉圧粉体の焼結過程で現れる異常膨張は, Cuの粒界侵入説よりもむしろ合金化説によるものと推察された。