パイロメタラジーの新展開：新鉄源プロセスの最近の動向

摘要

新鉄源製造プロセスとしての直接還元鉄(DRI)プラントは高炉のように大規模な設備投資が不要で，コークスも必要としないため，天然ガスを産出する発展途上国を中心に，製鉄所の鉄源プラントとして建設されてきた．図4に還元鉄生産量の推移図を示す．従来の高炉法による鉄鋼の生産量の伸びが全世界で年率数％であるのに対して，還元鉄生産量は1975～2005年の間に約80万トン／年から約5600万トン／年と70倍に増加している．近年は特に中国における鉄鋼消費量の高まりによる世界的な鉄鋼需要の増大から，還元鉄の取引価格が上昇するとともに，プラント建設に対する要望も高まっており，各所で新規プラントの建設が計画·実行されている．ここでは，これまでの新鉄源プロセスの変遷を振り返り，世界の還元鉄生産の主要部分を占めるガスベース還元鉄製造法のMidrex法と石炭ベース還元鉄製造法のFASTMET法，FASTMELT法，ITmk3法についての最近の開発動向について述べる．