化学結合と分子の形

摘要

金属性といえば特有の光沢を持ち，高い電気伝導度を示す単体あるいは合金の金属結晶の通性を思い浮かべるが，第1回に述べられているように凝縮系におけるもっと」互い物質に見られる物性である．金属が融けた液体ではもはやBlochの式が成立しないが金属性は保持される．多くの非金属材料にも電導性が（時には超伝導性さえ）見出されることが稀ではない．すなわち原子が固体や液体に凝集するときの結合のあり方によって発現されるものである．そこで2原子間の化学結合から出発し，3原子から鎖状あるいは網目構造へと化学結合が発達した物質の存在状態が金属性を出現させる条件を調べよう．ポリアセチレンやナノカーボンもここに登場する．