ボル卜の疲労強度に及ぼす一般的要因と従来対策

摘要

(1)ポルトの寸法効果：通状寸法のポルトの疲労限は，5~6kgf/mm~2(50~60MPa)であり，寸法が大き くなると疲労強度が低下するが，この傾向は純粋疲労の場合よリも顕著である.また，純粋疲労の場合， 応力集中係数α >切欠き係数βとなるが，ポル卜の場合α≦βの場合がある.(2)平均応力の影響：ボル卜の疲労強度は，平均応力の影響を受けにくい.(3)素材引張強さの影響：素材引張強さを高くしても，必ずしもポルトの疲労強度は向上するとは限らな い.むしろ，素材引張強さを高くすると,逆にボルトの疲労強度が低下する場合もある.この理由として， ボル卜の疲労強度支配要因の一つ，「片当り」に起因.(4)ポルトの疲労強度が低い理由：その一つとして，ねじ山の荷重分担が不均一，すなわち，ナット端部 の第一ねじ山に全体の荷重の約1/3が加わっており，その後は急激にその割合が低下している.(5)ポルトの疲労設計において，平滑材の疲労限を基準に，これをボルトの応力集中係数で割った値を， ボルトの疲労限とみなして設計する場合があるが，この方法は論理的ではない.(6)円筒部をねじ部よりも細くした伸びボルトを採用する場合は，ポルトの疲労強度向上に効果があり， 実際にも応用されている.(7)塑性域締付や使用する前にポルトにプレストレスを与える方法は，いずれも疲労強度向上にかなりの 効果が認められる.