学位と結婚,そして熱力学的諸問題

摘要

“手鍋提げても主が妻”という諺ある．昨今，この手鍋とはどのようなものか，若い女性だけでなく，金属材料を扱う技術者にとっても，歴史的遺物となっているものと思われる．熱効率のよい丸底の鉄鍋で，左右に持ち手を嵌める突起があり，囲炉裏の自在鍵にかけることも，竃に乗せることもできる．蓋は杉板が普通である．ちなみに，塚原朴伝の鍋蓋試合では，この杉板が活用されている．鉄鍋一つあれば飯炊き，味噌汁，煮物と何でもできる．鍋一つしかない貧乏してもあなたが良いという，男冥利につきる，女房志願者の殺し文句である．古来，若手学者は女性たちに好まれた形跡がある．BC144年，美女の誉れ高い卓文君も，父親のところに現れた司馬相知に一目ぼれして，駆け落ちした．当時の良家の子女としては信じがたい，居酒屋のマダムなどやって苦労したが，選hだ男は大当たりで，漢の武帝に重hじられる文人となったというエピソードは，よく知られている．さて，この逆の場合，若手女性学者に人気が出るかというのは，歴史的には厄介な諸問題の一つである．