材料のエコバランス：材料のエコバランス評価と資源生産性

摘要

持続可能な社会とは，現在の世界が必要としているものを満たしつつ，同時に，将来世代の世界が必要としているものを満たす権利を妨げない社会である．現在の社会とは十数億人のある程度満たされつつある社会ばかりではなく必要物をも手に入れるのが困難な数十億人の社会を含hでいることを忘れてはならない．新しい素材や製品の普及は，それらの多数の人々を寒さや渇き，疾病や災害から防ぎ，さらには広く社会基盤を安定させ，労働を軽減し，豊かな生活へと進めていくことができる．もちろh素材や製品の普及は十数億の少数者にとっても恩恵は無線ではなく，社会ストレスや老いなどの不安の軽減やよりクオリティーの高い生活を可能とする．素材や製品はこのような光の面と共に，影の面も持っている．素材や製品に使用されている資源は現在のわれわれのものであると同時に将来の子孫のものでもあり，その大量の消費は将来世代の豊かさの源泉を奪い，残された廃棄物や排出物は将来だけでなく現在の負担ともなっている．光の面と影の面，この両者を把握して，光の面をより強く出していこう，少なくとも光より大きな影を作るまい，とするのがエコバランスの基本の考え方である．本稿では，このような観点から，最近注目されている資源生産性の考え方について述べる．