鉄鉱石焼結過程で生成する融液の化学組成および粘度の評価

摘要

焼結発生融液の基礎物性の把握を目的に，試薬および鉄鉱石を用いた試料の液相粘度測定，融液粘度の推算を行い，以下に示す結論を得た。 Fe_2O_3-CaO-SiO_2系の低融点組成においては高SiO_2含有融液での液相粘度が低SiO_2含有融液での値より5倍高い。 また，低SiO_2含有融液の液相粘度はAl_2O_3およびSiO_2の添加に伴い上昇した。 実用鉄鉱石より発生する融液組成でも液相粘度はAl_2O_3やSiO_2の含有量に依存した。 飯田らの粘度推算式を基に，Fe_2O_3-CaO－SiO_2系の低融点組成に対する固有係数を提案し，液相組成からの粘度の定性的な評価が可能となった。Fe_2O_3－CaO－SiO_2の3成分系について，1300°Cでの固液共存相の粘度分布を，粘度推算式および,懸濁液の粘度式から求め，焼結初期生成融液の流動性を評価した。