調質圧延時の表面租さ転写に与える水系調質圧延液の効果

摘要

本報告では，4段コィル圧延機を用いて，高圧粘性を殆ど有しない水系調質圧延液，高圧粘性を有する鉱油およびドラィの3潤滑条件で調質圧延を行い，表面転写を評価した。その結果，以下の結論を得た。 （1）高炭素鋼板では，水系調質圧延液を用いた圧延は，ドラィ圧延や鉱油を用いた圧延にくらべて，表面粗さの転写に優れることがわかった。 （2）低炭素鋼板では，水系調質圧延液は鉱油にくらべると転写に優れ，ドラィとは同等になる。 水系調質圧延液は，低炭素鋼板よりも高炭素鋼板に対して効果が高いことがわかった。（3）水系詞質圧延液はドラィ圧延にくらべ，張力が下がっても圧延荷重が増大し難い傾向が見られる。 （4）高圧粘性が非常に小さく，潤滑性に優れる水系調質圧延液は，表面粗さの転写をコントロール出来ることが期待される。 本報告の遂行にあたり，実験材料の提供および助言を頂いた生産部門冷延部会に対し，深く感謝の意を表する。