静止液体中を落下する低密度微粒子群の分散挙動

摘要

製鋼スラグ有効利用の一つに，海洋にスラグ粒子を散布して植物プランクトンを増殖させ炭酸ガスを固定化しようとする試みがなされている。 この目的を達成するためには，スラグ粒子を海水面に均一に散布するとともに，できるだけ海水面近傍に均一分散した歌態で留まらせて，沈降を妨げる必要がある。 沈降防止には微粒子を用いればよいが，スラグ微粒子の散布については，例えば農薬を散布するように飛行機や船を用いて行うことが考えられる。 この方法は手間がかからず容易である反面，凪があれば吹き飛ばされる可能性があり，均一散布はそれほど容易ではないと予想される。 一方，船上に設置したタンク等に入れた海水中にスラグ微粒子をあらかじめ均卜一分散させておき，海水面に散布する方法は，手間はかかるものの，均一散布はそれほど難しくない。 どの方法がより効果的であるのかの総合的判断は今後の研究に待たねばならないが，本研究では後者の方法に着目し，粒子分散に関する基礎的研究を行った。