鏡鉄鉱を原料とした模擬たたら製鉄からの製鉄関連試料の科学的調査

摘要

日南たたら研究会により地元の船通山より産出する鏡鉄鉱を原料としたたたら製鉄が行われた。このたたら製鉄の際に原料として使用された鏡鉄鉱や生産された鉄塊，炉壁の粘土,鉄滓持などの製鉄関連費料に対して自然科学的分析を行った。1回目の鏡鉄鉱たたらで生産された鉄塊ではS濃度が約0．86％と高く，和鉄としての大きな評価が得られるであろう短刀作成までには至らなかった。この原因として，原料に使用した滑地区より産出した鏡鉄鉱には黄鉄鉱が混在するために高硫黄深度である鉱石が混入しでいたことが判明した。この結果を踏まえて行おれた2回目の鏡鉄鉱たたらでは，鉱石の選鉱を行って製錬が行われた。その結果，生産された鉄塊中のS濃度は約0．02～0．11％と低濃度になり，選鉱によって大幅を改善をすることができた。更に，奥萩山産の鏡鉄鉱を選鉱して3回目の鏡鉄鉱たたらの原料に用いたどころ，S濃度は約0．006～0．02％とより低下させることができた。