化学物質自主管理のためのリスク評価重要性：リスク評価技術に関する取り組み(2)－リスク評価システム「Risk Manager」の開発と普及

摘要

企業で取り扱う化学物質の安全管理は，まさに企業経営の根幹である。近年，化学物質の管理は法規制と自主管理のミックスの時代を迎えた。 化学物質を取り扱う企業·事業者にとって，化学物質の全ライフサイクルにわたっての「環境·安全·健康」を確保する自主管理活動（レスポンシブル·ケア活動）の一環として，また化学物質を製造·販売，あるいは排出·廃棄する企業の責任という側面から，その化学物質が製造現場の作業員や事業所周辺の住民などにどのような影響を与える可能性があるかを把握することはきわめて重要である。 このような有害危険性と暴露の程度を推定し評価するのが「リスグ評価」であり，リスク評価に基づいた化学物質の総合管理（リスクマネジメント）－例えば，事業所周辺あるいは事業所内作業場の環境管理改善や製造プロセスの改善などを考えること－が化学物質管理の重要な要素となる。 つまり，化学物質管理の適切な対応方針を検討する出発点がリスク評価である。