粉体単位操作ガイダンス〔8〕〈総論〉集塵技術の概要と将来展望

摘要

集塵技術は，排ガス中の粒子状物質の分離による環境保全，さらには粉体利用プロセスにおける粉体製品の回収などの視点から古くより開発が進められてきた。特に，粒子状物質は，硫黄酸化物（SO_x），窒素酸化物（NO_x）など他の環境汚染質に比べ，目に見えるという特徴があるため，集塵技術は古くから注目され，新技術の開発·改良が進められてきた。近年では，排ガスの浄化に対する要求が厳しくなるに応じて，従来から注目されていた粒子状物質や，SO_x，NO_xだけでなく，微量有機物質など他の物質の低減も注目されている。これらの物質はガス状あるいは粒子状など様々な形態で存在するため，集塵装置の除去性能の向上に加え，ガス状物質との同時除去あるいは，それぞれの除去装置の合理的組合せも重要となっている。一方，粉体製品回収においてもナノテクノロジーの進展に伴い，極端な微粒子の高度な回収技術などの開発が必要となっており，その点でも，集塵技術の重要性は，益々高まっている。本稿では，これまで日々進化を続けて来た集塵技術について，その現状と今後の展望を明らかにする。すなわち，まず集塵技術の概要を概説し，現在注目されている課題を明らかにするとともに，今後の技術開発に関して展望を述べる。