内部循環式流下液膜蒸発／蒸留装置「WWムートン」の開発

摘要

薄膜式蒸発／蒸留装置やガス吸収装置として使用される滞れ壁塔タイプの流下液膜気液接触装置に適用される主なプロセスは重力により流下する液膜流の内部や界面において伝熱や物質移動を伴っている。単純な滞れ壁塔だと通常，液膜流の伝熱係数や物質移動係数があまり大きくならないだけでなく，液膜厚さが薄いとジャケットなどの伝熱面に濡れない，あるいは乾いた部分ができたりする問題もある。また重力による下方への一方通行の流れだとプロセスの接触時間に関係する滞留時間が大きくない。これらの問題に対する対策として，例えば，蒸発プロセスでは流下する液膜を回転するブレード（掻き取り翼）やブラシで強制的にかき乱したり，掻き取ったりして伝熱面に形成される汚れによるファウリングを防いだり，伝熱促進を促したり工夫しているが，この場合は壁面の摩耗による製品への摩耗粉の混入かコンタミの問題が起きやすい。また処理すべき供給原料の流量が大きくない場合が多く，流下液膜の流量が少ないため膜レイノルズ数が高くならないので，実際は装置底部ノズルより排出する缶出液を装置外に設置したポンプにより，もう一度トップへ汲み上げて循環させることにより液膜の流量，したがって膜レイノルズ数を大きくする手段が取られたりしている。