資源循環のための次世代型分離プロセス

摘要

天然資源は自然が長年にわたって創り上げた大変貴重な資源だが，人間活動の各段階で発生する廃棄物（ここでは主として固体廃棄物を扱う）は人工物が創り上げた貴重な人工資源とも言え，天然鉱山に模して古くより都市鉱山とも呼ばれている。日本では歴史的に衛生·安全上の問題から廃棄物の多くが焼却·減量化·埋立てされる傾向にあったが，近年，各種天然資源の低品位化·処理困難化が進み，資源確保のために廃棄物を資源として利用するリサイクルが盛hに行われている。昔から「分ければ資源」「混ぜればゴミ」と言われるように，資源を構成する各種成分を分離·回収する技術の重要性も高く認識されるようになってきた。分離技術は基本的に，固相のままで分ける物理選別技術と液相にして分ける化学分離技術の2種類がある。前者は後者に比べて省資源·省エネルギー的そして環境調和的であるが，分離効率が低く，ここがリサイクルの技術的課題として挙げられる。物理選別の要素技術は，構成成分の単体分離を促進する粉砕技術と，その後に分離する（狭義の）物理選別技術である。本稿では，この両技術について，最近，当研究室において開発された内容を紹介したい。