アンモニア蒸留装置の省エネについて

摘要

アンモニアは基礎化学品の製造や，発酵工程に必要とされ，特に窒素肥料には必須の原料であることから，工業的に広く用いられている。また，燃焼炉の還元剤として排ガス中に含まれる場合もあるため，排水にアンモニアが含まれていることは少なくない。しかし平成28年9月，環境省が第8次総量削減として排水の窒素含有量の総量削減方針を策定したことで，アンモニアを含む排水の処理装置，及びアンモニアを有価物として回収する装置の必要性が更に高まっている。また近年，日本の政策として消費エネルギーの削減が強く求められている。特に大型の装置では，エネルギー消費量も多くなり，顧客工場の生産コスト削減の観点からも，省エネは必須および永遠の課題となる。当社は長年に亘り，時代のニーズに対応し，進化させながら，蒸発·蒸留装置の省エネルギーシステムを市場に供給してきた。その中から本稿では，アンモニア蒸留装置で従来導入されているストリッビング式を解説するとともに，省エネ型として，MVR（Mechanical vapor recompression）式と，ヒートポンプ式を紹介する。