水道水から“ベンゼン”が検出,そのベンゼン分解処理対策の一考察

摘要

筆者らも，ベンゼンを土壌，並びに水環境汚染·難分解性有機化合物として認知し，酸化分解研究（高効率フェントン法）を試み，原水（ベンゼン3.3mg/l）を処理水（ベンゼン0.003mg/l）に成功している。ベンゼンは水に不溶なため，構造式が似ているが，水に可溶なフェノール（石炭酸：C_6H_5-OH）に比べ数段分解が難しい。その理由は，高効率フェントン法で生じる酸化剤であるヒドロキシラジカル（OHラジカル）の強力な酸化分解力は，アルコール基，アルデヒド基，カルボキシル基，フェノール性水酸基等の水溶性官能基があってこそ発揮されるからである。本論では，まず，正しい姿が伝わっていないと思われるベンゼンの化学構造について論じる。次いで，当該構造の二重結合のπ結合への攻撃から分解が可能になることを示す。