鎌食のたたら製鉄: 鎌倉砂鉄から刀ができるまで

摘要

たたら製鉄は大陸から伝搬した製鉄技術を日本独自に発展させた製鉄法です。具体的には原料となる砂鉄を鉄の融点（1538°C）より低い1200～1300°Cの低温で木炭によって還元して鉄（鋼）を得る化学反応です。鉄酸化物にとって炭素は強力な還元剤になるため，砂鉄がたたら炉內で溶融して合金液滴になると，炉内で発生した一酸化炭素や直接接触する木炭によって還元反応が進行します。その際，不純物が分離して純度の高い鉄ができるのです。たたら炉内にできた不純物をノロ（鉄滓，スラグ），純度の高い鉄の塊をケラ（姆）と言います。両者は比重と融点が異なるため，たたら炉の底には完全に溶融したノロの中で半溶融状態のケラは沈hだ状態になっていると考えられます。このとき，炉底に設けた穴（ノロ出しロ）を開ければ，溶けたノロだけが炉外に流れ出て，ノロとケラを分離することができます。これがノロ出しです。