MLX56様タンパク質-クヮ乳液由来の害虫から植物 を守る新しいタイプのタンパク質

摘要

植物は植食昆虫の食害のリスクに常にさらされてい る.それに対し，動いて逃げることができない植物は様々 な防御機構や防御物質を発達させている.最近，我々の研 究ゃ他の研究者の研究から植物の葉脈などの傷口から滲出 してくる白い液体である乳液が植物の防御物質や防御タン パク質を高濃度で含む植物の強力な防御機構であることが明らかになつてきた（Agrawal and Konno 2009 ； Konno 2011；今野2018).たとえば，パパイアやイチジクの傷口 から滲出してくる乳液には，それぞれパパイン（papain) ゃフイシン（ficin)と呼ばれるタンパク質分解酵素である システィンフロテアーセ（cysteine protease)が大量に含ま れることが以前から知られていたが，我々はこれらの乳液 中のシスティンプロテア一ゼが食害昆虫に対して強力な殺 虫効果をもつ防御タンパグ質であることを解明した（Konno et al. 2004). その後，種々の昆虫に対する防御タンパク 質の働きが解明されてきた（Konno2011).本稿ではクヮ の乳液中から発見された低濃度で顕著な耐虫性を示し，ュ ニー クな構造と作用機構をもつ新規タンパク質である MLX56様耐虫性タンパク質につレて解説する.