標準化国際会議の現場--睡魔との戦い、英語との戦い

摘要

はじめて標準化国際会議に出席したのは35年前である。 それは，米国石油協会（API）の規格委員会であった。 この委員会の目的榛，石油·天然ガス開発のための油井管とその輸送のためのラインパイプの標準化であり，世界の石油を制覇していたメジャーオイルと米国や欧州の鉄鋼メーカー代表が委員として参加する国際会議であった。 最新の油井開発技術や鋼管技術の情報が話し合われていた。 私の委員会出席の目的は，当時，鋼管の世界動向を調査することが主体で，こちらから新技術の提案を行うことはまれであった。 したがって委員会の発言を漏らすことなく聞いて，国内に持ち帰って報告するのが仕事であった。会議開催場所の多くは，米国の石油生産地域であるテキサスやルイジアナであったが，ときどき鋼管工場が集まるペンシルベニアやオハイオなどで，工場見学を兼ねて会議が開催された。 年に4回ある会議は，長くて月曜から金曜までの5日間，短くてウイークデー内の2日間であるが，毎朝9時から始まり，1時間の昼食を挟hで午後5暗まで続いた。