クロコダイル

摘要

南アフリカのサファリで，大型種のワニであるクロコダイルに出合ったのは，5日目のボートクルーズのときだった。 サバンナの大草原を縫って流れるクリークを舟で進むうち，岸辺に丸太が打ち上げられていると思ったらそれがクロコダイルだった。 舟が近寄ってもビクともせず，貝殻のような目蓋を薄く閃いた奥から鋭い視線を発している。 4メートルはある巨体で，背中一面に大根おろしの歯を巨大にしたようなトゲが並hでいる。 威嚇するつもりか開いた大口は眼まで裂けて，上下の顎にナイフのような牙がズラリと白い。 カメラのシャッターをきりながらライフル銃のスコープで狙っている感覚に捉われた。 私の持っている銃は308口径だから，こいつの頭蓋骨には歯が立たないだろう。 仕留めるなら眼球の奥の脳を狙うしかあるまい。 そう思いを巡らしているとぅ　 ワニの眼がギロリと睨み返してきたように見えて首をすくめた。