自律-品質立国日本再生への条件

摘要

「先生，中国は世界の工場になりました」2年ほど前に「超ISO企業」と題してISOを超えることの意味を三つの視点から説き，ISO9000に隷属するのではなく自律的な総合質経営を志向することの重要さを強調した中国での2日間セミナーでの主催者の言である。 「えっ，日本を抜いたというのですか」「はい，先生。 中国進出の海外企業の工場の生産も含hでの中国製の工業製品という意味ですが」「本当ですか，信じられませh」「本当です，先生。 日本から見れば，ちょっと古い，ハイテクでない普通の工業製品が主ですが」「品質立国日本」「ものづくり大国日本」の相対的地位が落ちている。 アジアの台頭に対して工夫の余地のない人件費格差を指摘する向きもあるが，ジャパン·アズ·ナンバーワンとおだてられたころから日本の人件費は高かった。 地位低下の原因は，そhなところにあるのではなく，成熟社会·経済における産業構造の変化に伴う競争優位要因の変化，そして事業収益構造の変化に，我が国の社会·経済構造が追随できていないという構造的不整合にあり，しかもいまもってこの不整合が解消されていないことにある。