国際安全規格の動向：機能安全規格(IEC 61508/61511)と安全計装

摘要

このところ，日本ではさまざまな分野で“事故”が多発している。 ビルの回転ドア，エレベータ，そしてプールの給排水口といずれも犠牲者を出し，「安全」が大きく取り上げられている。プラントでも，設備の老朽化が“原因”とされ，増加の一方である。 永らく日本では安全基準遵守方式が根本にあり，最近ではその安全基準すら消えつつある。 笝C能安全」思考の欠如が事故多発の要因となっている。 一方，欧州ではセベソ，ボパールなど悲惨な化学プラントの事故を経て，また欧州統合の流れの中で，1991年にISO/IECガイド51が提起され，「安全とは，何も起きていないことではなく，リスクが最小の状態である」とした，機能安全の思想が定着した。 そして，1999年にIEC 61508が規定され，「安全の仕組み（安全機能）」の性能がどうあるべきかを，化学プラントはもとより宇宙·航空，海洋，陸上輸送，原発，炭鉱，医療と全ての産業に適用することとなった。