熱電材料を実使用環境で性能評価－大気中熱電モジュール評価装置の開発

摘要

自動車のような動力機関において，実際に動くことに使われるエネルギーは，投入エネルギーの4割程度である。使われないエネルギーは捨てられる。このエネルギーは未利用熱と呼ばれている。エネルギーの有効利用を行うために，未利用熱を減らすための研究や未利用熱を再利用するための研究が活発に進められている。熱電材料は熱から電気へ動力なしで変換することができるため，未利用熱を再利用するという点で実用化が期待されている。実際に，複数の熱電材料から構成されている熱電モジュールを使って，腕時計や惑星探査船の電源に応用化した例がある。最近では，熱電モジュールを装着した発電鍋（写真1）が開発販売された。鍋を加熱すると熱電モジュール内に生じる温度差を通して電気が発生する。この発生した電気を用いて携帯電話の充電ができる。発電鍋は電気が通っていない環境下（たとえば，災害時の停電中など）での電源として活用されている。