技術に志を--次の百年に向けて

摘要

当社，大同特殊鋼は今年創業100周年を迎える．調べてみると，2016年に100周年を迎える企業は日本全国で2162社＊1あり，ちっとも珍しい存在ではないことがわかる．その中で当社は売上規模で屈指の順位であるという事実に多少の驚きを覚えるが，もっと驚いてしまうのは2162社の45％が年間売上一億円以下の企業であるということだ．　大正五年に創業し，戦中戦後の荒波，そして昭和平成の大変化を乗り越えてきたいわば同期生の多数が今もなお大企業ではないという事実に，成長は別に長続きの必要条件というわけではなく，そのなかで見れば当社はそこそこ成長した企業ではないか，そこに普段は思わないちょっとした特別感を持つ．そうした冒で当社の来たりし道を振り返ると，諸先輩方がどのような思いでこの会社を舵取りしてきたのか，私はそこにいつも「志」というものを読み取ってしまう．そうして我が国の鉄鋼業界を見れば，それは何も当社に限ったことではないと気付くのである．