RWD ?デジタルヘルス利活用における 医薬品産業の未来?ファーマコビジランス（医薬品の安全性監視）分野における現在地点?

摘要

RWD (Real-World Data)活用に関する昨今の社会的動向はデジタルヘルスの技術革新にも負けず劣らず 活発だ.臨床現場から得られる現実社会の，実際の臨床現場のデータを医薬品の承認申請に使える仕組み の議論は日に日に現実味を帯びており，慎重論の多勢な本邦においてもその実現は時間の問題だろう.一 方で医薬品を製造販売するうえで欠かすことの出来ないファーマコビジランス（PV,医薬品の安全性監視） 分野におけるRWD活用については実のところこうした社会的潮流とは一線を画す流れで進渉している. RWDがあるから使おう，ということではなく，薬害を根絶しなければならないという社会的要請の中で，「使 えるRWD環境を整備しょう」という，ニーズドリブンの動きであって，これはむしろ社会的進歩の過程と しては適切なものである.同様に，デジタルヘルスの活用についても「薬害根絶」を動機として考えること に重要な意味がある.PV分野の現在地点を概観しながら，RWDやデジタルヘルスの利活用について医薬 品産業はどのように受け止めるべきなのか，"ビジネスチャンス"とは異なる側面から考察する.