J-PARC中性子実験施設の現状

摘要

J-PARCは物性研究，生命科学，材料科学，原子核，素粒子物理学研究を網羅する学際的研究及び産業利用にまたがる多目的研究施設セあり，400 MeV 線形加速器，3 GeVシンクロトロン，50 GeVシンクロトロン，物質生命科学実験施設，原子核実験施設，ニュートリノ実験施設，核変換実験施設より成っている。 建設は2001年に開始され，核変換実験施設を除いた計画の第一期分は2007年度完成予定である（Fig．1参照）。 物質生命科学研究施設（以下，JSNSあるいは中性子実験施設と称する）は，3 GeV陽子シンクロトロンにより加速した333μAの大陽子電流（加速陽子電力としては1 MW）を利用する核破砕型パルス中性子施設と中間子施設を併設した研究碓設である。 1MWの高エネルギー陽子により発生しうる中性子束は，時間平均強度にすると15 MWの中型研究用原子炉（定常炉）のそれに相当するが，パルス中性子源では中性子発生の時刻を起点とした飛行時間法を活用できるために，実質的にはパルスピーク強度が強度のよい指標となるために，現在世界最強の研究用原子炉の100倍もの性能を発揮する。 Fig．2はこの事情を示している。 左の図は時間平均強度が示しており，JSNSの強度はILLゐ4分の1程度になっていることがわかる。 しかしながら，測定強度に関わる左のパルスピーク強度ではILLの100倍以上の強度が示されている。 （ILL：ラウエ·ランジエバン研究所，フランス·グルノーブルにある欧州連合の原子炉中性子実験研究所であり，1974年に稼動し，現在においても世界最強(56 MW)を誇っている。 ）