高温高圧力下における周期振動実験による地震波減衰測定

摘要

D-DIA型プレスを使用して，周期0.5秒までの周期振動を与える油圧システムを開発し，高温高圧力下で周期振動による微小変位の生成と検出に成功した。実質的に地震学的観測と同様の線形応答領域でのQ~(-1)を決定するためには，試料にかかる応力および歪量が大きすぎるので，更なる微小歪量の空間分解能の改善などが必要である。しかし，このシステムの最大の恩恵は，実験セルをさらに小型化することにより，ガス圧試験機では到達することの出来ない圧力で安定な高圧鉱物やマントル，核物質の減衰挙動，非弾性効果に関する情報を得ることが可能になったことである。例えば，内核で観測されている六方晶Feなどの減衰特性，遷移クリープによる非弾性効果の決定は，このシステムを用いることにより十分に可能となった。また，新たに導入された周期振動システムを用いると相転移キネティクス，地震による部分溶融体のメルトの分離過程，粒成長の促進などの新たな研究分野の進展にも貢献できると思われる。