古くて新しい炭素の新展開：超高圧を利用した炭素ナノ構造体の機能探索－G ballsを中心に

摘要

本稿では，G ballsの高圧物性について，これまでの成果と機能材料としての可能性を紹介した。 G ballsの2次構造を反映した電子状態が，様々な機能性をもたらすことをご理解頂けたかと思う。 そして，圧力は1次構造，2次構造とそれに基づく物性を系統的に変化させることができるため，新規機能性を発見するにあたり，重要なツールになることを示した。 G ballsの他にも，炭素ナノ構造体にはバルクな結晶にはない2次構造の異なるものが数多くある。 炭素ナノ構造体は圧力によって変形しやすく，適切な2次構造を選択してやれば，圧力を使った新規機能探索が期待できる。 現在，筆者は，開いた構造をもつナノグラファイトの圧力下での水素吸蔵を調べているところだ。 成果は狙い通りだが，詳細な物理を提示するにはもうしばらく時間がかかりそうだ。