SQUID磁力計を利用した高精度電磁探査技術の開発

摘要

金属鉱床探査では，鉱床の潜頭化·奥地化が進む中で，地下深部の地質状況をより詳細に把握したり，アクセスが困難な地域で効率よく的確に有望地をピックアップするための手段として，物理探査に対する期待が大きくなってきている．超電導量子干渉素子（Superconducting Quantum Interference Device．以下，「SQUID」と略す）は，極低温環境で物質の電気抵抗がゼロとなる超電導現象を利用した超精密磁気計測素子であり，主に，磁気的に隔絶された環境での生体科学·医学分野でその利用が研究されてきた．従来，超電導現象を得るためには液体ヘリウムによる冷却が必要であったために装置が大きく，屋外での利用は国難であったが，近年の高温超電導物質の発見により，取扱いが容易か夜体窒素を利用できるようになり冷却装置等が小型化したために，SQUIDを野外測定用の小型磁プJ計として利用することが可能となった．金属鉱業事業団では，平成10,11年度に新エネルギー·産業技術総合開発機構（NEDO）からの委託事業「災害予知技術の開発」（新エネルギー·産業技術総合開発機構，2000）として，SQUID磁力計に基づいた電磁探査法システム（以下，SQUID測定システムと略す）を開発し，テストフィールドでの技術実証試験によりその性能を明らかにした．さらに，平成13年度からは，経済産業省からの委託事業「鉱物資源探査技術開発等調査 高精度物理探査技術の開発」（経済産業省，資源エネルギー庁，2002）として，鉱床探査用のSQUID測定システムを開発している．本稿では，SQUID測定システムの概要について述べるとともに，SQUID磁力計を用いるメリットヤフイールド試験の結果等を紹介する。