高保磁力DyフリーNd－Fe－B系焼結磁石の保磁力発現機構

摘要

電気自動車（EV）やハイブリッド車（HV）の駆動用モータ部品としでのNd-Fe－B焼結磁石の特性、とくに保磁力に注目が集まっている。同部品では、室温における保磁力が2．4MA/m（30kOe）程度必要である。そのために、ディスプロシウム（Dy）を全重量の10％程度添加して、結晶磁気異方性磁場を増施させるのが、これまでの通常対処法であった。しかし、Dy資源問題の深刻化から、Dyを結晶粒界に偏析させたり、焼結体の結晶粒子を微細化する手法が検討され、現在では30－50％程度の削減が可能になりつつある。本報告ではこ焼結体の結晶粒径を2μm以下に調製することで、Dy無添加で約20kOe（1，6MA/m）の高保磁力を発現させた、インターメタリックス社製のNd－FかB系焼結磁石の保磁力発現機構を研究して、その高保磁力発現の機構と、さらなる高保磁力化の可能性について検討した結果を報告する。なお、検討結果には、磁壁のピンニング挙動と類似の現象が見られるので、典型的なピンニング型保磁力発現機構に分類されるSm_2Co_(17)系焼結磁石との比較検討も行う。