希土類酸化物Y_(2（1-x)）Tb_(2x)O_3混晶系の結晶成長とその光学特性III：磁気光学

摘要

希土類化合物の特異な現象の1つに磁気光学効果があり、その重要な応用として光アイソレータがある。光アイソレータは磁気光学効果の光相反性を利用したもので、例えば光ファイバー通信では雑音の原因となる戻りビームの除去に必須の光デバイスである。光通信用としてはY3Fe5012（YIG）など、大きなファラデー効果を示す磁性ガーネット材が良く用いられている1）。YIGのような鉄化合物では、Feのふd遷移にともなる光吸収が波長1μm付近に存在するため、Nd：YAGレーザ（波長1．06μm）用の光アイソレータには利用できない。そのため波長1μm付近に光吸収が存在しないTb_3Al_5O_(12)（TAG）やTb_3Ga_5O_(12)（TGG）などのTbガーネットが用いられている。Tb_2O_3は常温では立方晶C一型が安定であるので、TAGやTGGのように大きな磁気光学効果と光アイソレータへの応用も期待される。しかしTb_2O_3は高温で単斜晶B－型や六方晶H－型の多形を取るためC．型のTb_2O_3単結晶は得られず、その磁気光学効果は未解明である。前講演でも報告したように、我々は全温度域でじ型構造が安定なY_2O_3を加えることにより、C－型構造を持つY_(2（1-x)）Tb_(2x)O_3混晶単結晶の育成に成功した2）。今回は得られた単結晶の磁気光学効果について報告する。